水戸地方裁判所 昭和39年(わ)326号 判決 1969年3月17日
本店所在地
水戸市東台六三九番地
合資会社茨城煙草乾燥機製作所
右代表者無限責任社員
瀬谷元利
本籍並び住居
同市東台六六八番地
瀬谷元利
明治一五年三月二〇日生
右両名に対する法人法違反各被告事件につき、当裁判所は、検察官吉田賢治出席のうえ審理を遂げ、次のとおり、判決する。
主文
被告人合資会社茨城煙草乾燥機製作所を判示第一の罪につき罰金一〇〇万円に同第二の罪につき罰金一五〇万円に被告人瀬谷元利を判示第一の罪につき罰金二〇万円に同第二の罪につき罰金三〇万円に処する。被告人瀬谷元利において、右各罰金を完納することができないときは、いずれも金二、〇〇〇円を一日に換算した期間、同被告人を労役場に留置する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人合資会社茨城煙草乾燥機製作所、は煙草乾燥機の製作加工修理及び販売等を目的とし、出資額二〇万として昭和二四年一一月二二日設立された会社であり、被告人瀬谷はその無限責任社員であつて同会社の業務一切を統轄していたものであるが、同会社設立後数年間はさして業績があがらなかつたけれども同三四年ごろから煙草乾燥機動力バーナーを製作販売するようになるや、遂年その業績も向上してきた折柄被告人瀬谷において被告会社の業務に関し、法人税を免れる目的をもつて、架空の借入金を計上したり売上金を秘匿し、或いは売掛金を計上せず、いわゆる現金主義によつて所得を計算する等の不正な方法により
第一、同三六年四月一日から同三七年三月三一日までの事業年度における被告会社の所得が一、一六三万五、〇二九円であつたのにかかわらず、同年五月二九日所轄水戸税務署長に対しその間の所得が一万三二八八円である旨虚偽の確定申告書を提出して法人税四、三五〇円を納付し、もつて同会社の右事業年度における正規の法人税額四三二万一、三〇〇円より右申告税額四、三五〇円を差引いた差額四三一万六、九五〇円逋脱し
第二、同三七年四月一日から同三八年三月三一日までの事業年度における被告会社の所得が一、四八五万四、五七一円であつたのにかかわらず、同年五月三〇日所轄水戸税務署長に対しその間の所得が一二万六、二八〇円である旨虚偽の確定申告書を提出して法人税四万一、六四〇円を納付し、もつて同社の右事業年度における正規の法人税額五五四万四、七一〇円より右申告税額四万一、六四〇円を差引いた差額五五〇万三〇七〇円逋脱したものである。
(証拠の標目)
判示第一の事実につき
一、押収してある現金出納張一冊、収入支出明細簿一冊、入出金伝票一二綴、組合別重油バーナー購入者名簿一冊、領収証控綴九冊、売上受註納品請求書一四冊、(昭和四〇年押第九五号の三、八、一二、一八、三五及び三八)
一、水戸税務署長の作成の昭和三九年三月一七日付A証明書
一、大蔵事務官作成の同四〇年五月一八日付A減価償却計算書
一、大蔵事務官作成の右同日付A未納事業税計算書
一、幡谷仙三郎の答申書
同第二の事実につき
一、押収してある総勘定元張一冊、現金出納帳一冊、伝票綴二一綴、収入支出明細簿一冊、入金伝票帳一冊入出金伝票一二綴、一般者バーナー購入者名簿一冊、組合別低温筒購入者名簿二冊、組合別重油バーナー購入者名簿八冊、換気扇納品張一冊、組合別納品帳二冊、フジライト納品帳一冊、集金帳六冊、売上受註納品請求書一綴、乾燥機部品受註帳二冊、鉄管出荷帳一冊、支払リベート帳一冊、茨城バーナーその他リベート内訳一覧表一冊、領収証控綴一一冊、同一冊、売上受註納品請求書一九冊、同一九冊、同二冊、同二六冊、ガソリン関係納品請求書綴二〇冊、納品書請求書綴一綴、売上受註納品請求書(低温筒)一綴(同押号の一、四、六、九ないし一〇、一三、一五、一七、二〇、二一、二三、二五、二六、二八ないし三〇、三三、三四、三六、三七、三九ないし四一、四三、五一、五四及び五五)
一、水戸税務署長の作成の同三九年三月一七日付B証明書
一、大蔵事務官作成の同四〇年五月一八日付B減価償却費計算書
一、大蔵事務官作成の右同日付B未納事業税計算書
一、鈴木常二郎(二通)、和田二郎、青木弘、御園生孝、川むめ、綿引敬之輔、宇野竹寿及び新興農具製作所の各答申書
一、被告人瀬谷の同三九年二月二二日付D答申書
以上全般の事実につき
一、押収してある日記帳一冊、ノート一冊、支払予定帳二冊、一般用バーナー購入者名簿一冊、換気扇組合別購入者名簿二冊、組合別重油バーナー購入者名簿二冊、組合別納品帳(請求入金)二冊、加藤石油店納品帳二冊、売上受註納品請求書一綴、市内部品工具仕入帳六冊、諸税関係簿四冊、売上受註納品請求書一二冊、同三冊、仕入納品請求書一一冊、同一七冊、仕入経費関係領収証綴一二冊、部品仕入関係納品請求書二〇冊、経費関係納品請求書綴七冊、同三一冊、仕入経費関係領収証綴一二冊、家計簿六冊、売掛証憑類整理簿一冊及び仕入経費証憑類整理簿一冊(同押号の二、五、七、一四、一六、一九、二二二四、二七、三一、三二、四二、四四、ないし五〇、五二、五三、五六及び五七)
一、登記官作成の登記簿謄本
一、証人樋口利雄の当公判廷における供述
一、水谷徳次郎の検察官に対する供述調書及び大蔵事務官に対する質問てん末書
一、桜井勝郎の証明書
一、塚田正友、須田保次、瀬谷芳久、桜井連次郎、管昭二郎(三通)の各答申書
一、金田源吉、鬼沢仙、根本彌平、倉田辰之助、東郷清、高倉正雄、本沢源蔵、照沼規匡、岩瀬源市、河合沖、板垣隆保、吉原盛、藤田清、宮崎清徳、藤代源、塩原慶一郎、安立行、吉田保太郎、高山慎二、浜崎政吉、株式会社関東商会、奥谷幹義、大内康夫、金子淳一、堀川武雄、吉野正治、山本光子、船生シメ子、中井島雄、田中かの、関実、小松崎千代次の各答申書
一、被告人瀬谷の当公判廷における供述
一、右被告人の第一回、第三回公判調書中の供述記載
一、同被告人の検察官に対する供述調書五通及び大蔵事務官に対する質問てん末書四通
一、同被告人の同三九年二月二二日付A、B、C各答申書
(法令の適用)
被告人両名の判示所為は各旧法人税法(昭和二二年法律第二八号)第四八条第一項(なお被告人両名の判示第一の所為につき同三七年法律第四五号法人税法の一部を改正する法律附則第一一項を、判示第二の所為につき法人税法(同四〇年法律第三四号)附則第一九条を、更に被告会社につき旧法人税法第五一条を各適用)に該当するところ、被告人瀬谷の右の罪につき所定刑中各罰金刑を選択し、いずれも所定罰金額の範囲内において、被告人合資会社茨城煙草乾燥機製作所を判示第一の罪につき罰金一〇〇万円に、判示第二の罪につき罰金一五〇万円に、被告人瀬谷元利を判示第一の罪につき罰金二〇万円に、判示第二の罪につき罰金三〇万円に処し、被告人瀬谷元利が右各罰金を完納することができないときは刑法第一八条によりいずれも金二、〇〇〇円を一日に換算した期間、同被告人を労役場に留置することとする。
よつて主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 高野平八 裁判官 長久保武 裁判官 竹田穣)